普遍的な共通関数をプログラムファイル内に展開します。

共通関数は1つのファイルにまとめて作成し、
それぞれのプログラムファイルからインクルードする
という方法が一般的に取られていると思います。

ここでは、それに比べて様々なメリットがある、
インライン共通関数という手法をご紹介します。

インラインとは

共通関数を各々のプログラムファイルの中に展開することをいいます。

[一般的なプログラム]
<?php
include "common.inc";
$mode = uForm("mode");
?>

[インライン共通関数によるプログラム]
<?php
$mode = uForm("mode");
// フォーム変数の受取。存在しない時は空文字を返す
function uForm($var) {
  if (isset($_POST[$var])) return $_POST[$var];
  if (isset($_GET[$var])) return $_GET[$var];
  return "";
}
?>

メリット1 見通しの良さ

共通関数をインライン化する最大のメリットは見通しの良さです。
特に他人が開発したプログラムをメンテナンスする時には、
そのプログラムの全体像を把握するのに苦労します。
「この関数はどこにあるのだろう」と、
いろんなインクルードファイルを探してやっと見つける、
といった作業を繰り返しながら、プログラムの全体像を理解していくのは
非常に生産性が悪いですし、精神的にもとても疲れます。(イライラする)

その点、共通関数がインライン化されていれば、ファイル内の検索で
その関数がすぐに見つかり、プログラム構造の理解が格段に容易となります。

メリット2 移植の容易性

プログラムを別の環境(サーバ、OS)へ移動して動作させることを移植と呼びます。
インクルードしているファイルがあると、そのディレクトリ構造とか、
読み込んでいるファイル等を一式まとめて移植する必要があり、結構大変です。
インライン共通関数を使っている場合は、プログラムファイルだけをコピーすれば良く、
プログラム単体レベルの移植作業が非常に容易に出来ます。

メリット3 大規模障害のリスク低減

共通関数というものは生産性と品質を向上させる便利な手法ですが、
1つ間違えると大規模障害につながるリスクがあります。
あるバグを修正するために共通関数をメンテナンスしたときに、
別のバグを生じさせてしまうことがあり、その影響範囲は共通関数を
使っているプログラム全体に及びます。
時には共通関数のバグを回避するようにしているプログラムが、
共通関数のバグを修正したがために正しく動かなくなることも起きたりします。

メリット4 同時開発のボトルネック解消

メンテナンスのためのチェックアウトや、本番への反映などは、
ファイルを最低単位として行います。
従って同じファイルに別のメンテナンス要件が重なると、
そのメンテナンスを同時に進めるのは困難となります。
その点、共通関数をインライン展開していれば、
他のメンテナンスの影響をうけることなく、
開発を行うことができます。

デメリット? 関数の修正反映

インライン共通関数の弱点は、更新された関数の配布です。
インクルードファイルとしておけば、それは一瞬に全体で更新できますが、
インライン展開している場合は(必要であれば)全てを更新する必要があります。
ただ、実際にはそのようなケースは通常発生しません。
1.共通関数は十分に枯れた(バグのない)ソースとしてリリースする。
2.原則機能追加はしない、機能追加したい場合は別の関数として新たにリリースする。
3.それでもまれに発生する重要な修正については、その修正が必要となるプログラムだけ、
  きちんとテストをした上で本番に反映する。
インクルード形式だとその影響範囲を厳密に考えずにリリースしてしまいますが、
インライン方式だと1つ1つテストをしながらリリースすることができます。
これはむしろ利点といっても良いかと思います。

注意点 インライン化すべきでない関数

インライン化する共通関数はできるだけ普遍的な共通処理のものとしてください。
ビジネスロジックの処理については随時メンテナンスが発生することが予想されますので、
処理プログラムを出来るだけ集中させて、消費税のように数値が変わるものは、
その部分だけを外部化し、パターン化されたプログラムの構造を心がけて下さい。
ビジネスロジック用のクラスを作る場合もあるかと思いますが、あまり大きなクラスを
作ってしまうと、そこがメンテナンス上のボトルネックになってしまうことが
少なくありませんので注意してください。

運用方法 コピペ用サイト公開

インライン展開する共通関数は、イントラサイトなどで開発者にWeb公開すると便利です。
各開発者はそこから自分が使いたい共通関数のみコピペして、プログラムファイルの後ろに
追加して開発を行います。
PHP共通関数の公開例